2017年9月21日木曜日

ねこ

   ねこ

徳山の石油基地から
国道二号線を東へ一時間十分
山間にさしかかるところにドライブインがある。
食堂に一匹の灰色のシャム猫がいる。
いつもカウンターの横に、尾を巻いて座っている。
サファイヤの瞳孔で
前をよぎる者を観察しているのだ。
昼すぎここを通ると
おれは車をとめて助手と一しょに丼を食いにはいる。
石油を腹一ぱい蔵したタンクローリイは
頭体が巨く小廻りがきかない。
空所を見つけて割り込むのが一苦労だ。
それでも通ると必らず立ち寄る。
土砂降りの雨の日でもだ。
リベリヤという小国は二十万トン級以上のタンカーを幾隻も持っている。
喜望峰から印度洋を渡り
水深の浅いマラッカ海峡を船底がつかえそうになりながら通って
日本の港湾に原油をはこんでくる。
きのうの未明、徳山に入港したスーパータンカーは二十六万五千トンだ。
おれたちは揃いの真赤なお仕着せを着せられている。
この燃え立つ赤が眼をひくのか
カウンターの前を通ると
猫は坐り直して両耳をぴくぴく動かす。
きょうも車をとめた。
徳山から
一時間十分の地点。
冬枯れの山中。


「シャム猫」=写真、wiki=は、エジプトで飼育されていたものが、シャム (タイ) に運ばれて定着したネコ。すらりとした体で動作は活発。短毛、尾は長く、耳は大きめで、眼は緑青色。毛色は全身象牙色、青白色、薄紫色などさまざまで、耳や足の先端が暗色を帯びています。

戦後の石油政策は、原油を輸入して製品化する「消費地精製方式」が採用されました。出光興産は、1957(昭和32)年、山口県徳山市の旧海軍燃料廠跡地の払い下げを受けて徳山製油所を完成させ、操業を始めました。

アメリカUOP社の技術を導入して建設されたこの製油所は、当時の最新鋭の製油設備を備え、大型タンカーで運ばれてきた原油を精製して、ナフサ、ガソリン、灯油、軽油、重油などを作って出荷してきました。

「リベリヤという小国は二十万トン級以上のタンカーを幾隻も持っている。/
喜望峰から印度洋を渡り/水深の浅いマラッカ海峡を船底がつかえそうになりながら通って/日本の港湾に原油をはこんでくる。」といったこともあったのかもしれません。

大型タンカーは、原油タンクがある大浦地区から2キロほど沖の海上桟橋に停泊して、パイプラインでタンクに荷揚げされ、操業から57年間に入港した原油タンカーは約1,500隻で、受け入れた原油量は約3億キロリットルにのぼるそうです。

作品の「おれ」は、「徳山の石油基地から」、福岡県北九州市から大阪市へと通じる「国道二号線」を、「石油を腹一ぱい蔵したタンクローリイ」を走らせている運転手のようです。

「山間にさしかかるところに」は「ドライブインがあ」り、「一匹の灰色のシャム猫がい」て「いつもカウンターの横に、尾を巻いて座っている」。その猫は「サファイヤの瞳孔で/前をよぎる者を観察しているの」です。

タンカーなど船にも国籍があり、登録した国の法律によって制約と保護を受けています。しかし、その内容は国によってまちまち。そこで、より有利な条件を持つ国に便宜的に船籍を移す動きが、戦後、世界の海運国で活発になりました。このような登録ができる国を便宜置籍国といいますが、「リベリヤ」はその代表格です。便宜置籍国ではさまざまな優遇税制が実施されているほか、船員費コスト削減などの便宜も図られているようです。

「お仕着せ」は、もともと、主人が使用人に、季節に応じて与えた衣服のことをいいます。おしきせ。「仲働(なかばたらき)を雇うとしますと、給金から、年二度の仕着せから」(二葉亭四迷「其面影」)

2017年9月20日水曜日

うなぎ

   うなぎ

桟橋の太い支柱は
倒立する電柱の深さで
海中に打ち込まれている。
夕の海をうねりくる重い波浪が
油と泥と藤壺の黒くかたまった橋脚を洗っている。満潮である。
対岸にはフレアが林立している。
細身のその高い煙突が
茄子紺色の空に
めらめらと紅蓮の炎を上げている。
風に吹かれて立った岸壁に釣りびとがいた。
釣りびとは岸壁に足をたれて孤独な背をこちらに向けている。
釣りびとのそばにいることは
永遠みたいな長い長い時間を
海面の一点を見つめながら
彼とともに辛抱強く待つことだが
千載一遇ということもある。
うしろに寄るや
大海蛇のようなうなぎが抛物線を描いて釣り上げられた。
夕波がぶつかる
油と泥と藤壺でかたまった橋脚の下の
暗黒の海底の凹みに棲息していたやつが
一まき二まき白い腹をおどらせて
宙に舞い
芋もろともおれの足もとに
投げ出された。


「うなぎ」は、は深海で産卵し、淡水域に入って成長する魚です。春先に河口にたどり着いたシラスウナギは、いったん川に上り始めると、障害を乗り越えて前進。わずかでも湿気があれば野や畑を越え、断崖をのぼって上流に達することもあります。夜行性で、河川、湖沼、内湾に生息し、昼間は石垣、穴、泥の中などに潜み、夜間水中に出て摂餌。小魚、昆虫、貝類、エビ、カニ、ミミズ、多毛類などがえさで、非常に貪食です。淡水域で5~10年を過ごした親魚は下りウナギになって、9月ごろから産卵のため降海します。

「藤壺」は、蔓脚類フジツボ亜目に属する甲殻類の総称。体は堅い石灰質の殻におおわれ、円錐形をしています。大きさは1〜5センチくらいのものが多く、つる状の胸脚を伸ばして水流を起こし、プランクトンを食べます。

「フレア」は、 レンズやプリズムの面で光の一部が反射され、これが結像しないでかぶりを生じる現象をいいます。また、太陽彩層の一部が爆発的に噴出する現象(太陽面爆発)あるいは、軍事装備で、赤外線を追尾するミサイルを誤誘導させるため、放射する強い赤外線のこともいいます。このフレアは、マグネシウムと硝酸ナトリウム系の混合物を燃焼させてつくり、瞬間的に燃焼温度が 2000~2400Kの高温となり,広帯域の赤外線スペクトル分布を作り出すことができます。

「紅蓮」(ぐれん)は紅色の蓮の花。猛火の炎の色に例えられます。仏教では、八寒地獄の七番目である紅蓮地獄の略称で、死後そこに落ちた者は、酷い寒さにより皮膚が裂けて流血し、紅色の蓮花のようになるといいます。こうした意味合いから、勢いの強い火のことを「紅蓮の炎」と呼ばれています。

「千載一遇」とは、千年に一度思いがけず訪れるほど、二度とない絶好の機会のこと。「載」は年、「遇」は、思いがけず出くわすという意。『文選・袁宏・三国名臣序賛』に「千載一遇は、賢智の嘉会なり」とあるのに基づいています。

2017年9月19日火曜日

夕やけ

   夕やけ

すすきの穂が
夕陽に映えている。
大安寺堤の
水の枯れた小川べり。
空一ぱいに群れ飛んでいるギンヤンマを
暗くなるまで
一しょに追った日があった。
その日を最後に
おれの前から姿を消して
われはどこに行ってしまったのか。
おれの家とは
三畝のとうもろこし畑をへだてて
隣りどうしだったが
杳として消息を断った。
おどろいたよ。
そのわれが
ふいにいまのおれの前に立ち現われた。
ダイアルを廻したら
われの顔がアップで出たのだ。
北京から帰ったわれが
空港の貴賓室で記者会見をやっている。
 石油を売って下さいと頼んできました
と、われは云った。
おでこの生えぎわに
むかしのおもかげが残っている。
そうだったのか
大安寺堤の夕やけの中から
行方不明になったわれの行き先は。
お互いにあの日から六十年生きたことになるなア。
も少し長生きしたら
われも、おれも
ハレー彗星に
も一度めぐり会える。


「ギンヤンマ」は、トンボの1種で、体長80mm内外、黄緑色、茶色の斑があります。雄の腹部は美しい空色。朝鮮、中国大陸、台湾などに分布。成虫は6〜9月に出現し、日本全土の池沼の周辺や水田でたくさんみられます。

「ギンヤンマを/暗くなるまで/一しょに追った日」を最後に「おれの前から姿を消して」しまった「われ」が、「六十年」ぶりに「おれの前に立ち現われた」といいます。

「北京から帰ったわれ」は「空港の貴賓室で記者会見をやって」「石油を売って下さいと頼んできました」といっています。

ここからは「第1次オイルショック」がうかがわれます。1973年10月6日に第4次中東戦争が勃発したのを受けて10月16日、石油輸出国機構(OPEC)に加盟のペルシア湾岸産油6カ国は、原油公示価格21%引き上げと、原油生産の削減とイスラエル支援国への禁輸を決定。さらに12月には、翌1974年1月から原油価格を2倍に引き上げると決定しました。

石油価格の上昇は、エネルギーを中東の石油に依存してきた先進工業国の経済を脅かしました。日本も、ニクソン・ショックから立ち直りかけていた景気を直撃。戦後ずっと続いていた高度経済成長がここに終焉を迎えることになりました。

トイレットペーパーや洗剤などの買占め騒動、デパートのエスカレータの運転中止などの社会現象も発生しました。また、省エネ対策の一環として深夜の電力消費を抑制しようと、ネオンの早期消灯やテレビジョン放送の深夜放送を休止する処置もとられました。

2017年9月18日月曜日

拒絶の木

   拒絶の木

立ちどまって
そんなにわたしを見ないで。
かんけいありません、あなたの歌にわたしは。
あなたに見つめられている間は
水も上ってこないんです。
そんな眼で
わたしを下から上まで見ないでほしい。
ゆれるわたしの重量の中にはいってこないでください。
未来なんてものではわたしはないんですから。
気持のよい五月の陽ざし。
ひとりにしておいてほしい。
おれの前に
立つな!


「歌とは逆に歌を」を追求した、一本の木である詩人が「かんけいありません、あなたの歌にわたしは」と拒絶します。「あなたに見つめられている間は/水も上ってこないんです」と言うのです。

「重量」というのは、物体に作用する重力の大きさをいいます。空気の抵抗がなければ、地上の同一地点ではすべての物体が同じ加速度g(重力加速度)で落ちるので、重力の大きさは物体の質量をmとするとmgとなります。

重力によって物が落ちるように、物体を手で押すと動き出しますが、このとき「物体を押す力=物体の質量×位置を変える加速度」という釣り合いが成り立っています。

物体に働く力が、力の方向を繰り返し変えるとき、振動を起こす、すなわち「ゆれる」ことになります。繰り返し変わる力を受けてゆれる「わたしの重量」へ介入するしてくることを拒絶しているのです。

2017年9月17日日曜日

世界を震撼させなかった三日間

   世界を震撼させなかった三日間

石崖の亀裂から
太いイヌワラビが
人間のこぶしぐらいのリングを巻き
五、六本かたまって突き出ていた。
黒蟻が一匹
そのイヌワラビの茎をつたって下りていく。
茎から茎へ、そして根の達する土の中へ。
大イヌワラビは
蟻が行こうとするところへの道しるべであった。
もうすがたは見えないが
よく動く触角をはたらかせて
この山も岩盤の底の
かれのみが知っている通路を行く。

   〇

その夜
おれが見た夢。
黒蟻はそれから先へ先へと真暗な岩盤の底を潜行した。
すると、かれはひんやりした地底の渓谷のほとりに出たのだ。
うす青い光が射していたな。
しかし、そこもまだ、かれが行きつこうとするところではなかった。
空間に赤インキのしみのようなものが現われて
蟻はその中へ消えて行った。

   〇

マーチャンダイズトマートビルの第十一階あたりの壁から
クローズアップで
じつにありありと石崖の化物ワラビが横に突き出ている。
おれには、それが
まったく当然のことに思えた。

   〇

ストは
操車場に整然と列び静まっている車輛群以外に
見るべきものなし

   〇

きのう崖のところに行ってみた。
目印というものは一回きりのものなのか。
ついにその場所がわからなかった。
もう見つからん
あの大イヌワラビ。


アメリカのジャーナリスト、ジョン・リード(1887-1920)は、第一次世界大戦中のヨーロッパでロシア革命の始まりを聞いて1917年にロシアへ入り、自身の体験やウラジーミル・レーニンへのインタビューなどをもとに、ロシア革命のルポルタージュ『世界を震撼させた十日間』をまとめました。同書には後にレーニン夫妻が序文を寄せ、「世界の労働者達に無条件で推薦する」と賞賛しています。

「イヌワラビ」はメシダ科の夏緑性シダ。高さ40〜70cm。林のへり、路傍などに、短くはった地下茎から葉があいついで出ます。多少赤紫がかっていて、草質で柔らかいのが特徴です。

「マーチャンダイズトマートビル」=写真=すなわちマーチャンダイズ・マートは、米国・シカゴにある、商業建築ビルの中で世界最大級の敷地を誇る建物です。高さは104メートル、25階建て、ビルの敷地は2ブロックに広がり、総面積は39万平米。

ベージュ色のレンガの外壁、トライアングルの相対的な構成はエジプトのピラミッドを連想させます。1928年に建設が始まり、1930年に完成しました。しかし、建築後まもなくアメリカの大不況に襲われ、売り上げは沈滞して経営困難になりました。

第二次世界大戦後の1946年にジョセフ・ケネディがこの建物を買収し、新たな展開を見せます。卸問屋やオフィスと同時に卸売りのショールーム、展示、デパートメントなどに活用。世界最大級の貿易センターとしても知られ、毎年300万人が訪れているそうです。

このビルをモデルにした複合ビル、大阪マーチャンダイズ・マートが、大阪市中央区大手前にあります。大阪市、京阪、竹中工務店などが出資する第三セクターによって1969年に竣工。地上22階、地下4階建、高さ約78mで、大小の展示ホールが完備され、各種展示会などに使用されています。1989年に外装を現在の総マジックミラーガラス張りに改装されました。

2017年9月16日土曜日

夏まで

   夏まで

追いつめられて
逃げこむ。
森の椎の木の枝先きに
微粒子となって身をひそめる。
だれもおれを発見できない。
陽に照り映える夏山の
ただの森林になってしまうのだから
波を打って
ゆれ動く木々よ。

   〇

新緑の木々の梢で
点滅する豆電球のように
一枚の葉っぱがしきりに葉うらをかえして
眼くばせしている

   〇

そうか
おまえもそうして
夜明けの小川のほとりで
ねこやなぎの一つの芽に集まる光を見つめていたのか。

   〇

ハシバミの実の内部には
ほのかな光が射す迷路がある。
おれはその一つの小径にいた。
だれにも出くわさない。

   〇

アカガシの木の枝は
どうしてこんなかたちをとり
どうしてそれぞれの枝は小枝に分れ
小枝はまた小枝に分れて
かすんだ網の目となって空間にひろがっているのだろう。
夜明け。

   〇

こんなところに
白たんぽぽが咲いている。
もう絶滅したんじゃなかったのか。
天地をくつがえすような想いを託さなければ申しわけない。

   〇

いぬわらびの茂みの中に
ヴィオラのケースが一つ。
山中の人眼につかないところである。
音楽とはかんけいなさそうだ。

   〇

つるバラの
刺の尖端が廻転扉になっていてくるくるまわっている。
つるバラの刺の中に
おれは宿泊しているのだ。
まず見つかることはないだろう。

   〇

鈴なりに
赤い実をつけた
山帰来の大枝束が
日向に山と積まれている。

   〇

夢もきゅうくつだな。
雨に打たれるヒメムカシヨモギ。
アワダチソウの残骸。
ぐるりは
人家が密集していて。

   〇

自然というものに
おれはそれほどゆかりのある人間ではないが
長くとどまっていたよ
山塞のごときこの隠れ家。

   〇

夏まで
このままでいる。


「微粒子」は、一般的に非常に細かい粒という意味のほかに、物質の構成単位としての素粒子、量子力学的な場の励起状態を表す光子や陽電子、あるいは準粒子であるフォノンや正孔などもあります。力学的な意味での粒子は、かたちや大きさ、向き、回転など、内部の自由度は持たないか無視できるモノを指します。

「森の椎の木の枝先きに/微粒子となって身をひそめる。/だれもおれを発見できない。」というのですから、詩人は、何らかの物理学的イメージを含んで用いているように思われます。

「白たんぽぽ」は、キク科の多年草シロバナタンポポのことでしょうか。とすれば、関西地方ではとくに珍しくはない、都市周辺ではふつうのタンポポです。タンポポ類のなかでは葉は広めで大きく、淡緑色で軟らかい。頭花が白なので、他種とはっきり区別できます。

「ヒメムカシヨモギ」は、キク科の1〜2年草。北米原産で明治初期に渡来した帰化植物。路傍や荒地にふつうにはえています。全体に粗毛があり、茎は直立して、高さ0.5〜1.5m、披針形の葉を互生します。

「アワダチソウ」は、アキノキリンソウのこと。花序の姿を盛りあがる酒の泡にみたててつけられました。日当りの良い道端や山地の草原に普通に見かけるキク科の多年草で、花が一見ベンケイソウ科のキリンソウに似ています。

「山塞」は、山中に築いたとりで、または、山賊のすみかのことをいいます。

2017年9月15日金曜日

半島のさいはて

   半島のさいはて

ある日
大きな亀にのり
海に出て 帰らず
行方不明になった浦島太郎
半島の北端
黒潮分流が押してくるところ。
崖にはヤマカンゾウ。
浜にはキャリフラワーのような「防風」が風にそよいでいるところ。
まばらな松林の中に
ひどく荒廃した白木の神殿が
風雨にさらされて森閑としてるところ。
エンヂンの音をとめ
船底に身をひそめたひとたちが
夜陰にまぎれて潜入するところ。
おれには
そのひとたちはただ極端に貧しいということだけしかわからない
女、子どもをまじえた
そんなひとたちが漂着して
いずこにかき消え去る渚。
「白南風」の山の頂上に廻転しているレーダーも絶対にキャッチできぬ
遠い深い暗いところから
うねる怒涛の彼方から。
「怪しい船、怪しいひとを見たひとは警察署へ」
そんな立札が
村々の辻に立っているところ。
むかしむかし浦島太郎がいたところ。
キャリフラワーのような砂丘植物が
風に吹かれている……


「浦島太郎」の呼びかたは、室町時代に作られた「おとぎ草子」の中に出てきます。一般には、次のような物語として知られています。浦島は助けた亀に案内されて竜宮を訪れ、歓待を受けて3日後に帰郷します。しかし地上では300年の歳月が過ぎていて、開けるなといわれた玉匣(玉手箱)を開けると白煙が立ち上り、浦島は一瞬にして白髪の爺となり死んでしまいます。奈良時代の『日本書紀』雄略22年の条、『万葉集』巻九の高橋虫麻呂作といわれる「詠水江浦島子一首幷短歌」、『丹後国風土記』、平安時代の漢文資料「浦島子伝」「続浦島子伝記」などにも記述がみられます。

「キャリフラワー」(Cauliflower)は、アブラナ科の一年生植物で、頂花蕾を食用にする淡色野菜として栽培されるほか、観賞用途でも利用されます。太い茎がミネラルやビタミンを貯蔵する器官としての役割を果たすため、良質な花や実がついて、栄養価が高くなります。

ここで「キャリフラワーのような「防風」」とされるのは、日本をはじめ東アジアの海岸に生えるセリ科の多年草であるハマボウフウかボタンボウフウでしょうか。ハマボウフウは、高さ5〜10cmで、葉は砂上に広がり2回3出複葉で、厚く、光沢があり、小さな白花を咲かせます。ボタンボウフウは、高さ80cm内外。葉はボタンに似ていて小葉は緑白色で厚く、夏、枝先に複散形花序を出して多数の白い小花を開きます。

夏になると、日本列島には太平洋高気圧から南東季節風が吹き寄せます。冬の北風に対し、これは夏の南風(みなみ・はえ)と呼ばれています。この南風のうち、梅雨時に吹いて黒雲を運ぶ湿気の多い風を黒南風(くろはえ)。一方、梅雨明け近くに吹く、雨雲を一掃するような爽やかな風を「白南風」(しろはえ)といいます。