2017年4月16日日曜日

家系

   家系

俺はある日自分に対して決然として叛逆するものがあるのを知つた
母につながり、兄弟につながり、そして遠いわが家の先祖にまでつながつてゐる俺の血がかたまりとまるのがわかつた
今日の生活の動きを沮むさまざまな伝統や卑屈な道徳で混濁した黒いタールのやうな血であつた
俺は死に俺は生れた
俺は母や兄弟の責めるやうな眼と対峙した
沸々として沸き出づる新らしい血のぬくもりを胸に感じた
あゝ、この血のためにむしろ彼等の敵となり生き得る俺は万歳だ


家が超世代的に存在することが前提とされる社会では、家の社会的維持のために、その系譜が重要視されました。

最初の家長夫婦は後継者たるべき者を跡取りと決め、これに配偶者を入れて、その家が何世代にもわたって継承され、永続することを願いました。

家は家長によって統括され、そこでは家名や家産、家の祭祀を含む家行事が継承されます。また、他の家との関連のなかで相互に家系を重視することで、家の秩序や社会秩序が維持され、身分関係を顕在化させました。

跡取りとされなかった子は、他家へ婚出するか養取されるかして、生家の家系から他の家の家系へ所属がえするか、生家を本家とし、その本家に従属し依存する分家を創設してもらうかしました。

跡取りでない息子に嫁をとって分家させるだけでなく娘に婿をとって分家させることもあり、長年奉公した住込み奉公人に嫁をとって分家させることもありました。

本家から分岐する形で創られたこれらの分家も、本家と同様に世代を超えて継承されました。こうした分家の家系は、分家の初代、さらに本家の家系からの枝分かれとして位置づけられました。

十三郎は、まだまだ、こうした「家系」が重きをなしている時代に生きていたのです。

*自分に対する反逆を家系という軸で捕えたものである。《安》


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