2017年4月25日火曜日

軍用道路

   軍用道路

暗い郊外の野をつらぬいて
かなたの山麓へ
また、一直線に路がついた
月のある晩だし、このあたりは少し小高くなつてゐるので夜目にもずうつと向ふの果てまで見渡しが利くのだ
路に沿ふて林立する電柱や敷きつめられた茣蓙や
いまや工事が完成した
月光を浴びたアスフアルトの路面に
被布でおほわれた地ならし(ローラー)の黒い影がのび
道路のまん中に放り出されたセメントミキサーは残骸のやうな白い乾いた口を夜空に向けてゐる
何といふ静かさだらう
犬の仔一匹あらはれない
まつたくしーんと静まりかへつてゐるのである


「軍用道路」は、軍事上の目的によりつくられた道路。平時の軍隊の高速移動、補給、軍事施設への通行、ときに航空機の臨時滑走路として利用するため、ふつう直線、立体交差になっている。形、幅、勾配、カーブ、路面、路床を、機械化部隊の連続移動に耐えるよう頑強につくってあります。

軍隊の移動、補給のために工兵(施設科)によって戦場につくられる道路で、軍公路とも呼ばれます。既設道路を補強し使用するほか、山野を切り開き、路盤を整備、路面を舗装して、まったく新しく建設する場合もあります。

第二次世界大戦前に建設されたドイツのライヒス・アウトバーン、ソ連の五か年計画道路、日本にも第二次大戦前は軍港や要塞への軍用道路がありました。
 
復帰前の沖縄において、米国民政府が設置し維持管理をしていた、日本本土における国道に相当する道路のことも、軍用道路(軍道)と呼ばれます=写真。軍事的観点から全線が舗装され、管理と補修は米軍によって行われました。

*帰阪後の作とおもわれる。「軍馬への慰問」の頃の諷刺的姿勢を脱して、ここには、ことの本質に迫ろうとする方法意識が強い。軍用道路を、その上を走る戦車などで捕えずに、完成直後の静けさで捕えているなど、いかにも小野好みの力感溢れる佳作である。《安》

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