2017年7月27日木曜日

夜の鳩

   夜の鳩

胸毛を逆だて
鳩は梁の上によりそってとまっている。
そこはうまごやの天井のようであり、大伽藍の穹窿のようでもある。
外にはごうごうと風が吹いている。
かんだんなく物の倒壊する音や爆発音がする。


「伽藍」は普通、僧侶の住む寺院などの建築物をいいます。サンスクリット語のサンガーラーマの音写語「僧伽藍摩」の略。もともと修行僧が集まって仏道を修する閑寂な場所をいいましたが、のちには転じて寺院の建造物を意味する語となりました。寺院の主要な七つの建物を具備しているのが七堂伽藍。禅宗では、仏殿、法堂、三門、庫院、僧堂、浴室、東司をいいます。

「穹窿」(ボールト)=写真、wiki=、アーチを基本にした曲面天井の総称。最も基本的な形はトンネル状のもので、筒形ボールトと呼ばれます。ローマ人は、2つの筒形ボールトを直角に交差させる交差ボールトを発明し、ポンペイの公共浴場、ローマのコンスタンチヌスのバシリカなどに現れ、ネロの黄金宮殿やトラヤヌス帝の大浴場などに用いられました。ここでは一種の殻構造が形成され、天井の重量が4つの隅部で支えられるため広い柱なしの空間をつくることが可能になりました。

ゴシックの聖堂建築は、交差ボールトの稜線部を肋骨状の太いアーチによって補強したリブ・ボールトを採用、中間の壁体が不要となり、大きな窓や天高く伸びる構造など、ゴシック建築の特徴がこれによって生れました。特にイギリスのゴシック建築では、星状ボールト、扇形ボールト、網状ボールトなどが生み出され、とりわけ装飾的な構成をみせています。

*『火呑む欅』の「爆心地の鳩」とあわせ読んでほしい。「爆心地の鳩」では「物産陳列館」があり、ようしゃなく降る雨があり、くくと啼く鳩がいる。表面忠実な写実であり、何気ない言葉の示すわずかの方向性が読者に識別を求めている。この作品では「うまごやの天井のよう」であり「大伽藍の穹窿のよう」である場所で、外では「物の倒壊する音」「爆発音」がたえまなくしている。この作品では認識から空想へ、存在から行動へ、人をかりたてていく暗示力が生れてくる。《安》

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